Dementia

医療と介護にまつわるコラム

認知症について

2010.7.1

パップ剤とテープ剤の違いって何だろう(2)

急性痛と慢性痛を、最も一般的な肩こり、腰・関節の痛みを例にとって、さらに、パップ剤とテープ剤の有用性と使い分けについても説明してみます。 ①肩こり 肩こりはいわば筋肉痛ですね。筋肉痛は筋肉を構成している筋線維やその周囲を埋めている結合組織が断裂して出血する結果、周囲に炎症が広がって起こるものといわれています。筋肉痛と一言に言いますが、実は筋肉自体には前回説明した、痛みの受容器はありません。筋肉を束ねている腱や筋肉を包んでいる筋膜に受容器があるので、そこに刺激が及んで「興奮」しなければ痛みは感じないわけですね。 この段階の湿布は・・・パップ剤でよいと思います。ひんやりして気持ちもいいでしょう。 じゃあ、テープ剤じゃだめなの? いいえそうとも言えないのです。最初の2,3日はやっぱり冷やしたほうが理屈に適っているように思いますが、それを過ぎたら、腫れて硬くなっている筋肉で血管は押しつぶされて血行が悪くなっていますから、「温めて筋肉をやわらかくし血管を広げて血行を改善する」ためにテープ剤を使うというのも一理ありだと思います。 ところで、腕がだるく痛い、しびれる、と訴える人に肩こりがないか尋ねても、「前はあったけど今は感じない」とか「肩こりってどういう状態なのか知らない」と答える人がいますね。これは、頸肩腕症候群といわれる状態で「慢性痛」に当たります。ひどい肩こりで筋肉の傷害を繰り返し、腫れて血液循環を悪くして神経への栄養も阻害された結果、しびれを訴えるようになります(仮説)。この治療は難儀します。もちろん湿布で治るものではありません。でも、痛みを緩和すれば、しかも症状が初期の段階なら、治る見込みもありますから、効率よく痛みを緩和してくれるテープ剤は使ってみる価値はあるでしょう。パップ剤はだめか? パップ剤もテープ剤も含まれている鎮痛薬の効果は同じですので、「だめ」とは言いません。痛みの増悪期は局所の炎症を起こしているわけですから、冷やすことも悪いとは言えないでしょう。 ②腰・関節痛 いわゆるぎっくり腰は、筋筋膜性腰痛といわれるように、筋肉痛ですから前述したように急性痛です。ですから、パップ剤がお勧めです。(テープ剤も擁護します。理由は肩こりの項を参照。) 黙っていても痛いといわれる肩の痛み、膝の痛み、腰の痛みは「骨の痛み」ではありません。そもそも骨自体には痛覚の受容器はないのです。受容器は骨膜や、周囲の組織にあります。したがってこれら関節部分の痛みは、関節周囲の組織に痛みの刺激が波及してきて起こるのであり、その多くは関節が擦れ合うことによる炎症と血行障害です。痛みを増強させるような作業を行った後ならパップ剤で冷やすことも「あり」でしょう。また、そんなに痛くなってはいないが、今日もよく動かしたので血行が悪くなって後から痛くなるだろうと思うならテープ剤も「あり」です。 ③神経痛(おまけ) 神経痛は、これぞ「慢性痛」の代表かもしれません。これは使いすぎで起こるともいえませんし、神経局所に炎症があるともいえません。そのメカニズムがわかっていないのです。「痛みを記憶している」という仮説が生まれる所以です。この神経痛に湿布剤は効果があるのか?・・・わかりません。ただ、神経痛には痛みの誘発点というのがあるものです。たとえば坐骨神経痛の時の臀部のように。その部分に皮膚の表面から局所的に鎮痛薬を浸透させるという意味で、湿布剤が効果を示すかもしれません。そういう意味合いからすると、パップ剤よりもテープ剤のほうに軍配が上がりそうです。

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