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医療と介護にまつわるコラム

くどくど言わずに…

まずは一献

2006.11.26

『げ』に徹する

むずかしい人との上手なつきあい方は『』に徹することだといったら、あなたはどんな連想をしますか? 上下の『下』? 同じ言葉ですが、『』ではなく『げ』になること、といったらどうですか? 「我」ではなく「下」? 意味はわかるんですが、なんだか当て字っぽくて、かっこ悪いでしょ? それに、言わんとしていることはもうここで見え見えでしょ? こういうのを講演などで良く見かけますが、私は嫌いです(ゴメンナサイ)。たぶん、若者はのってこない。

 実は、ここの「げ」の答えは「おかげ」の「げ」なんです。 じゃあ、「が」は?    「わたしが」の「が」です。 わかるわけないですよね。それでいいんです、なぜって、最初からわかることなら、あえてここに書く必要もないですから。

 むずかしい人との上手なつきあい方、それは、「私」ではなくて「おか」に徹すること。 「どうしてそれを私しなきゃならないんですか、それはあなたの仕事でしょ?」「なぜ私責められるんですか、あなたがそう言ったじゃないですか!」「私あなたを不快にさせるようなことをしましたか?」「私言ってるのはそういうことじゃないんです!」・・・。 どの台詞をみても、べつにこの方が間違ったことを言ってるわけじゃないですよね。 間違ってはいないのですが、この台詞、あなたは本当に相手にぶつけますか? もし、この先も長く付き合っていきたいと思うなら、それはあまり賢いとはいえませんね。

 この台詞、こんな風に書き換えてみましょう。 「あなたがしたほうが良かった仕事ですが、私にやらせていただいたおかで、ひとつ賢くなりました。今度同じことがあっても大丈夫です」「あなたに言われたとおりにしたのですが・・・、でも、おかで勉強になりました、同じ失敗は繰り返しません」「相手にいやな思いをさせまいと気をつけていたつもりでしたが・・・おかで鏡に映った自分がなんて不機嫌な顔をしているのかわかりました」「私の言いたいのはそういうことではないんですが、そんな風にも捉えられるんですね、おかで参考になりました」・・・。

 気むずかしい相手になぜそこまでして屈する必要があるの?何度も何度もそう思うことでしょうね。そこまでするくらいなら、こんな所辞めてやる、こんな奴もう付き合わない、・・・そう思いますよね。でも、一度や二度ならそれもいいけど、何度もそんな体験を繰り返したら? あなたのほうが病気になっちゃう。何も悪くないはずのあなたが。 バカらしい。あほらしい。

 でも、心の中は、こんな風に切り替えてみたらいいと思いませんか。 何度も何度も、悔しい思いをして相手に屈して、「おかで」「おかで」を繰り返す。 そのうちにこんな言葉が思い浮かぶことでしょう。 あなたはほんとにむずかしい人ですね。でも、むずかしい人だったから、おかげで私はこんなにたくさんのことを教えられましたよ。こんなにたくさんの人から愛されています。ありがとう。 (このテーマも、日常診療の中での、ある出会いを基にしています。)

                            by やぶれがさ

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