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医療と介護にまつわるコラム
くどくど言わずに…
まずは一献
パップ剤とテープ剤の違いって何だろう(1)
最近、いろいろな薬品メーカーから『○○テープ』というのが発売されていますね。同じ名前の『○○パップ』というのが先行発売されているケースが多いのではないでしょうか?
テープ剤発売のニュースを聞いて、多くの方(ドクターも含めて)は、「ああ、肌色の湿布も出したんだな」くらいに思われているのではないでしょうか?
確かに、パップ剤は白いフランネル地に薬剤を塗っていますし、テープ剤はストッキングに使われる肌色のポリエステル地に薬剤が塗られています。
だから、テープ剤は目立ちたくない場所に貼るためのもの、と考えている方が多いようです。
本当にそれだけ…でしょうか?
ここで、パップ剤とテープ剤の本当の違いについてのにわか薀蓄を傾けてみましょう。
パップ剤とテープ剤の根本的な違い、それは
パップ剤は水溶性の基材に薬剤を塗布しており、
テープ剤は脂溶性の基材に薬剤を塗布している
ということです。
水分を多く含んだパップ剤は、貼った瞬間ひんやりとします。この水分が気化するときに皮膚から熱を奪うわけで、「パップ剤のほうが、ひやっとしてよく効く」と絶賛する方もいらっしゃいますが、粘着性では、テープ剤に負けるようです。つまり、「貼ったときはひんやり気持ちいいけど、剥がれやすい」というわけです。ただし、「剥がれやすいことは剥がしやすいことだ」と賛辞を送る方もいます。
一方のテープ剤は脂溶性ですので、皮膚との親和性がよく剥がれ難く、親和性がよいため薬剤の浸透性・吸収性も高いといわれます。また、ストッキングと似た布地なので、保温性もあり、温感効果も期待できるといわれますが、「シップは冷やすもの」と思っている方には「ちっとも冷たくないから白いのに替えて・・・」と言われてしまう場合も多々あります。それから、皮膚に貼る前にクチャクチャになってしまうと言う苦情もよく聞かれますね。
それでは、こうしたパップ剤とテープ剤のそれぞれの特徴を活かした使い分けというのはあるのでしょうか?
というわけで、TVのCMでも有名な○△製薬の担当者に質問してみましたし、「ホンマかいな」というわけで、インターネットでも裏を取った結果は以下のとおり。
「打ち身や捻挫のような炎症性の腫れを伴う急性痛には、冷却効果の高いパップ剤が、一方、膝や腰などの関節の変形からくる慢性痛には温感効果による血行改善に期待してテープ剤がお勧め」ということです。
ああ、なるほど・・・と納得して終わる人もいます。もちろんそれでいいと思います。僕も質問したときは、それで「ありがとう、よくわかりました」と謝辞を述べました。
このままで終われば、この記事は書かなかったのですが・・・。
ここで気になったのは、「急性痛とか慢性痛とかいってるけど、『痛み』のメカニズムって何だっけ」ということです。
この話を難しくすると、話題がそれてしまいそうなのでごく簡単に。
痛みが脳に伝わるには、皮膚や臓器に存在する痛みの受容器(レセプター)から末梢神経、脊髄、脳という具合に神経の中継局を通って脳に伝わる必要がありますが、皮膚や臓器の痛みを創り出す(感知する)のはこのうちの受容器と末梢神経です。どうやって感知するのかって?受容器や末梢神経の末端が興奮するのです。わかりやすく言えば、興奮=「痛い!」です。
では、受容器や神経末端を興奮させる現象とは何でしょうか?
皮膚を切るとか叩く(打撲)とかいう物理的な外力による刺激が考えられますね。傷や毛穴に細菌が感染して炎症を起こす化学的な有痛物質による刺激もあります。
これが、『急性痛』のメカニズムです。
一方の『慢性痛』というのは、「痛みの学習」とか「痛みの記憶」などという非常に面倒な概念が加わっていて、これについて云々するのはここでは避けますが、簡単に言えば、急性痛が起こる原因が除かれたにもかかわらず、なおも痛みを感じ、さらにその苦痛からさまざまな心身の変調(他の部位に痛みが広がる、他の臓器の不調が起こる、うつ状態になる、など)をきたす状態を『慢性痛』と呼んでいるようです。
じゃあ、『慢性痛』に湿布なんてどれを使っても効くはずがないだろう、って? そのとおりです。
そのとおりなんですが、『慢性痛』の基本にあるのは痛みですし、湿布には使われている薬剤はパップ剤であろうとテープ剤であろうと、どちらも消炎鎮痛剤です。
書き始めたときは簡単な「パップ剤とテープ剤の賢い使い分け」のはずでしたが、なんだか厄介なお話になりそうです。
ちょっと休憩して・・・お話はさらに続きます。
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