Q&A

医療と介護にまつわるコラム

Dr.ヒマダーの I Care通信

2020.10.25

2. よく、「○○過ぎ」とか「○○不足」というけど…

いろいろありますね。塩分の摂り過ぎだとか、お酒の飲み過ぎだとか。

① 糖分の摂り過ぎについて 

WHO(世界保健機構)は、糖の摂取量を1日の摂取カロリーの10%以内、できれば5%以内にとどめることが生活習慣病の予防につながると提案しています。

目安としては、お菓子やジュースなど甘いものは1日1回片手にのるぐらいに制限することが勧められています。

目安:角砂糖4gで15kcal、チョコレート100gで557kcal、クッキー100gで432kcal、大福100gで235kcal、ヨーグルト100gで62kcal

② 塩分の摂り過ぎについて

日本人が1日にとる食塩は12g(小さじ2杯分)ぐらいといわれていますが、本当はできれば10g以下にしたいものです。心臓疾患の既往のある人の塩分は6g以下と言われています。

目安:即席ラーメン1袋80gで塩分5.3g、塩サケ1切れ55gで塩分4.5g、たらこⅠ腹20gで塩分1.3g、みそ汁1杯20gで塩分2.5g、たくあん3切れ30gで塩分1.4g、プロセスチーズ3切れ45gで塩分0.6g、ハム3枚50gで塩分1.5g、かまぼこ1/2本60gで1.5g

③ アルコールの適量ってあるの?

厚生労働省は「健康日本21」の中で「節度ある適度な飲酒」を以下のように定義しています。

「通常のアルコール代謝能を有する日本人においては、節度ある適度な飲酒として、1日平均純アルコールで20g程度である。」

アルコールの度数、わかりますよね。度数5または5%のビールとは、100ミリリッター(mL)に、純アルコールが5mL含まれているビールということです。

反対に純アルコール量が20gとは、大体「ビール中ビン1本」「日本酒1合」「チュウハイ(7%)350mL缶1本」「ウィスキーダブル1杯」などに相当する計算になります。

ただし、ここに以下の注意事項を参考のために…

a.一般に女性は男性に比べてアルコール分解速度が遅い。女性は男性に比べて臓器障害を起こしやすい。

b.フラッシング(顔面紅潮・動悸・吐き気・眠気・頭痛) を起こす者はそうでない者に比べて有毒なアセトアルデヒドの血中濃度が高くなり、アルコールの分解が遅れる。がんのリスクも高くなる。

c.高齢者(65歳以上です)ではアルコールの分解速度が下がることや、血中濃度が高くないにもかかわらず酔い方がひどくなる。 

④ 1日の必要カロリーは?

面倒な説明抜きでザックリいうと、40~60代の男性なら2600~2500kcal、女性なら2000kcal前後です。

⑤ 「運動不足」なんてあいまいな表現使わないで!

・糖尿病を改善するための運動療法の目標:

運動の頻度はできれば毎日、少なくとも週に3~5回、運動強度は中強度(ややきつい)の全身を使った有酸素運動(一般的に中等度の強度の有酸素運動とは、最大酸素摂取量の50%前後、運動時心拍数が50歳未満で100~120拍/分、50歳以降で100拍/分以内の、ウォーキング・ジョギング・水泳・自転車などのできるだけ大きな筋肉を使用する運動)、運動時間は各20~60分間行い、計150分以上が一般的に勧められています。また、週に2~3回のレジスタンス運動を同時に行うことが勧められています。

 「ややきつい」って何よ?自覚的運動強度と呼ばれるものです。不整脈などで心拍数を指標にできない場合、自覚的運動強度として、「ややきつい」または「楽である」を目安にするんです。普通の有酸素運動は「ニコニコペース」でいいんですよ。でも、体脂肪燃焼効果を求める場合は、低強度や高強度よりも中強度(少し汗ばむ、息が切れる程度)で一定時間運動を行う必要があるんです。

 レジスタンス運動とは、腹筋、ダンベル、腕立て伏せ、スクワットなどのおもりや抵抗負荷に対して動作を行う運動のことです。

*水中運動は有酸素運動およびレジスタンス運動の両方が行える運動種目であり、膝への負担が少なく、肥満糖尿病患者さんには安全かつ効果的でおススメです。

・高血圧を改善するための運動療法の目標:

習慣的な有酸素運動が収縮期血圧を3.5mmHg低下、拡張期血圧を2.5mmHg低下させ、高血圧患者においても収縮期血圧を8.3mmHg低下、拡張期血圧を5.2mmHg低下させる効果があるといわれています。

 ウォーキング(速歩)・軽いジョギング・水中運動・自転車・その他レクリエーションスポーツなどの有酸素運動を、定期的に(できれば毎日)、30分以上の運動を目標とします。また1回10分以上の運動であれば合計して1日30分以上としてもよいです。

 低・中強度の運動は収縮期血圧の上昇はわずかであるのに対して、高強度の運動は血圧上昇が著明であるため、中等度「ややきつい」と感じる程度の運動強度(心拍数が100-120拍/分、最大酸素摂取量の50%程度)がよいでしょう。

・脂質異常症を改善するための運動療法の目標:

 運動療法は、脂質異常症患者だけでなく健常者においても、血中トリグリセライドレベルを低下、HDLコレステロールレベルを増大させ、血中脂質値に好影響を及ぼします。

 1日の合計 30分以上の運動(中強度以上の有酸素運動)を毎日続けることが望ましいです(少なくとも週3日は実施すること)。また、1日の中で短時間の運動を数回に分けて合計して30分以上としてもよいです(例:10分間の運動を3回実施で合計30分間)。血中脂質レベルは1回の運動では影響を受けません。そのため血中脂質レベルに好影響を与えるには数ヶ月以上の長期的な運動療法が必要となります。

⑥ 「水分を摂るって水やお茶でいいですか?」と聞くと「はい」って言うけど、もう少し説明する時間作ってくださいよ?

 そうですね。診察の途中でにわか勉強会をしている時間はなかなか取れませんものね。先ほどの運動療法についてなんて言い出したら診療が止まってしまいますね。

 そもそも必要水分量という表現は、とてもいい加減、アバウト(誰かに叱られそう)です。

 だから、この項目も長くなります。覚悟して読んでくださいね。

 本題に入りますが、栄養素は食事摂取基準によって摂取量が決められていますが、水に関して基準値は設定されていません。しかし人の体にとって水は欠かせません。水は私たちの体にもっとも多く含まれる物質で、生命活動をサポートしています。成人の体の55~60%を水分が占めています。主に脳、腸、腎臓、筋肉、肝臓などの臓器・組織中の水分含有量は80%と比較的多いです。しかし、脂肪組織(皮下組織)は中性脂肪が多いので、水分含有率は約33%と低いです。また、女性は男性に比べると脂肪量が多いため、水分含有率は約55%と少な目です。また、肥満者も痩せの方よりも体水分量が少ないです。さらに高齢者は加齢とともに実質細胞数が減るため、成人よりも水分含有量が減り約50%です。

 水には口から飲む飲料水、食べ物の中に含まれる水の「摂取される水」と、体内で栄養素がエネルギーになるときに生成される「代謝水」があります。これらの摂取される水と代謝される水の総量は1日約2,400mlです。内訳は飲料水から約1,000ml、食事から摂取する水は約1,100ml、代謝水は約300mlです。一方、摂取した水分は尿、便や皮膚および呼吸から自然に蒸発している水分である不感蒸泄を含め1日約2,400ml排泄されています。尿量は約1,500ml、便は約100ml、呼気は約300ml、汗は約500ml排泄されます。つまり、プラスマイナスゼロになっています。これが健康な状態で、水分摂取量で尿量が調節されます。(水分を過剰にとっても便は軟らかくならないってこと?その通りです。)夏のように暑く汗を大量にかくときは、その分の水分補給が大切になります(尿量も減り、色も濃くなっているはずです)。のどの渇きを感じた時はすでに、脱水が始まっている状態です。

 では、水は一日どれくらい飲めばよいのでしょうか。

(欧米の研究の成果によると水の必要摂取量の目安は生活活動レベルが低い集団で 1日2.3リットルから2.5 リットル程度、生活活動レベルが高い集団で1日3.3リットルから3.5 リットル程度<すごい>と推定されています。

また、水の摂取源は欧米諸国では食物由来がおよそ20%から30%、残りが飲物で70%から80%であることから、水分補給として1日1.5リットルの水を飲むべきであるとされています。)しかし、日本人の水の摂取源の割合は、和食の献立に代表されるように水分含量が高い食事であるため、食物由来からの摂取割合が欧米諸国よりも異なることが予想され、信頼度の高い研究は極めて乏しく参考となる報告がありません。とはいえ、人の体は食べ物がなくても、水さえあれば1ヶ月近く生きることができます。しかし、水が1滴も飲めないと、2~3日で生命維持は困難となります。体から水分が1%の損失で、のどの渇き、2%の損失ではめまいや吐き気、食欲減退などが現れます。そして10~12%の損失では筋けいれん、失神、20%の損失では生命の危機になり、死に至ってしまいます。体の水分が不足すると、熱中症、脳梗塞、心筋梗塞など、さまざまな健康障害のリスクの要因にもなります(なんて、こんなにわかっているのに…)

ついでに、水の健康効果についてお話ししましょうか?また今度にしようかな、いや忘れてしまいそうだから。

ア.痩せ体質をつくる

常温の水を飲むと、体の中から温まり、代謝がアップします。また水を飲むことで、筋肉にしっかりと血液が送り込まれ、効率よく筋肉量が増えます。筋肉量が増えると基礎代謝量も増え、痩せ体質になります。

イ.血液をさらさらにする

血液がドロドロしている状態は脂肪などが血液中に大量に存在し、スムーズに流れない状態です。血液は酸素を運搬しているので、血液の流れが悪くなると細胞に酸素がいかず、免疫力の低下、脳や内臓の機能の低下などを引き起こします。脳梗塞や心筋梗塞をも引き起こしやすくします。水を飲むとトイレに行く回数が増えるので老廃物が排泄され、血液もサラサラになります。

ウ.食べ過ぎない(食事量をコントロールできる)

食事をしながら水分を取り入れるので、食べるペースがゆっくりになり、満腹感も得られるので、食べ過ぎを防げます。早食いは満腹感を感じにくいため、食べる量が多くなってしまいます。

エ.肌に潤いを保つ(これを伝えたかった)

肌は表面から水分を補給しても中まで届きません。肌の中まで水分を補うためには水を飲むことです。またシミやしわ、くすみなども水を補うことで細胞の中の老廃物や毒素が排出され、細胞に必要な栄養素が補えるので古い細胞から新しい細胞へと変わり、肌の新陳代謝が改善されます。

最後に厚労省からの抜粋:健康のための水の飲み方(『水と健康ハンドブック』から)

のどの渇きは脱水が始まっている証拠であり、渇きを感じてから水を飲むのではなく、渇きを感じる前に水分を摂ることが大事です。水分が不足しやすい、就寝の前後、スポーツの前後・途中、入浴の前後、飲酒中あるいはその後等に水分を摂ることが重要とされており、枕元に水分をおいて就寝することも重要です。水分の摂取量は多くの方では不足気味であり、平均的には、コップの水をあと2杯飲めば、一日に必要な水の量を概ね確保できます。

その際、砂糖や塩分などの濃度が高いと、吸収までの時間が長くなる点に注意が必要です。また、アルコールや多量のカフェインを含む飲料は、尿の量を増やし体内の水分を排せつしてしまうので、水分補給としては適しません。

なお、腎臓、心臓等の疾患の治療中で、医師に水分の摂取について指示されている場合は、この指示に従う必要があります。

参考にした資料:eヘルスネット、厚生労働省

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